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解雇事由を就業規則に定める

 

  1. 勤務不良の社員を自由に解雇できるか
  2. 労働契約法の解雇権の濫用
  3. 就業規則の解雇の定め
  4. 懲戒解雇を位置づけ

勤務不良の社員を自由に解雇できるか

経営者や人事担当者は、以前よりまして、企業成長のために人材育成の重要性を認識し、採用決定基準を持ち、慎重に採用をしていらっしゃるでしょう。
しかし、大変残念なことに、社員として月日が経るに従って、遅刻を繰り返す・見込んだ能力が発揮できない・上司の指示に従わない・悪いことに内部の資金を使い込むなど、勤務不良や制裁規定に該当するような社員が出てくることがあります。
採用を決定した当事者としては、見込みが違ったことからくる苛立ちや、信頼を裏切られたという感情も加わって、「何が何でも解雇したい」と考えることもあるようです。
さて、会社は社員を自由にすぐさま解雇をすることができるでしょうか。


こんな時、社員と十分に話し合い、なぜ、今の勤務状態に陥っているのか、一定の期間を区切って猶予期間を作り、改善の方法と目標をどう設定するかを決め、勤務改善に導く対応を取ることが大切と思います。
それでも改善されない場合は、譴責、減給、降格などの懲戒処分を行います。これらは、話し合いともに、書面で通知し、経緯についても書面に残します。書面の記録は、解雇の合理性が問題になったときにひとつの証拠になります。


それでもまだ改善されない時は、勧奨退職、能力不足による普通解雇、懲戒規程による懲戒解雇を取らざるを得ないケースに発展します。また、解雇には、経営不振などによる整理解雇と、天災などにより事業が継続できずに解雇するケースもあります。
いずれの解雇も慎重に行うべきと認識しておくことが必要です。 
一方で、解雇の事態に備えて、就業規則を整えておくことも重要です。

労働契約法の解雇権の濫用(労働契約法第16条)

「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」との規定が設けられました。こうしたことから、解雇の客観的で合理的な理由があるかどうかを判断しなければなりません。
労働基準法は、解雇について30日前の予告などの手続き義務と、業務災害による休業中および産前産後の休業中とその後30日間の解雇禁止規定を定めていました。しかし雇用環境の変化により、解雇のトラブルが増えたことや裁判によって解雇権の認定基準が確立される方向にあることから、雇用者を解雇する場合の基準について「労働契約法」に明記されました。

就業規則の解雇の定め

解雇の事態に備えて、就業規則の「退職に関する事項」の中に「解雇の事由」を明記します  退職に関する事項は、就業規則に記載しなければならない事項です。
そして、「解雇の事由」を記載することが必要です。既に作成している就業規則に「解雇の事由」を記載されていない会社は、記載を行い従業員社員に周知した上で、変更届の手続きをとり、労働基準監督署に届け出なければなりません。例として次のような事項です。ただし、次の事項はあくまで、事例ですので実態にあわせた規定を定めるようにします。

・職務命令に対する重大な違反行為
・業務について不正な行為
・勤務態度又は勤務成績が不良であること
・天災その他やむない理由によって当社の事業の継続が不可能となった場合
・事業縮小等当社の都合
解雇の規定があっても、解雇を実施するときになって、初めて社員に明示したのでは、トラブルになります。解雇事由は、労働基準法で採用時の書面明示が義務付けられています。これは、労働条件の重要な項目ですから、採用時にあらかじめ労働条件として書面か就業規則を交付して明示します。

懲戒解雇を位置づけ

懲戒処分のひとつに懲戒解雇を位置づけます。解雇の中でも懲戒解雇については、一般的に就業規則に「表彰・懲戒」の章を設け、懲戒の区分を示し、懲戒解雇について明記します。また、その懲戒の理由も列挙します。次の事項はあくまで、事例ですので実態にあわせた規定を定めるようにします。
(1)正当な理由なく無断欠勤○日以上に及ぶとき
(2)正当な理由なくしばしば欠勤、遅刻、早退するなど繰り返す指導をしても勤務を怠ったとき
    ・・・・・等
想定される勤務態度や勤務成績の不良の事由を、具体的に、また基準を計りやすい表現で定めておきます。列挙しきれない事由も想定できますから、「その他この規則に違反し、又は前各号に準ずる不都合な行為があったとき」という、規定を入れることをお勧めします。