ワンズライフコンパス株式会社 ワンズオフィス社労士事務所 発行人 大関 ひろ美
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この号の内容

  1. 残念ながら給与を下げる
  2. 新しい給与を通知する書式
  3. 就業規則を改定して下げる

"労働条件の変更は丁寧に説明することが大事です。そして、約束した内容は必ず実行します。やってはいけないことは、実行できない内容の口約束や、書面で約束をすること。"

"労働条件の変更は、現在の条件を少しでも下げたら「不利益変更」だと考える。代わりになる有益変更があっても、それはそれで別の話。"

残念ながら給与を下げる

そうある話でもありませんし、起こってほしくない話ですが、諸般の経営環境の変化から、悪い経営状態が続き、一時的に給与を下げなければならないとき、どのようにしたらよいのでしょうか。
給与のカットは、労働条件の引き下げですから、基本的には社員一人一人の同意が必要になります。
このことの法律の根拠は、労働契約法(第8条)にあり「労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる」としています。
合意を得るためには、給与を下げる必要性を十分に説明することが必要です。
また、すでに約束した大切な労働条件を下げるわけですから、経営がどのような状況なったら給与を元に戻すのかということや、その見込みはいつになるのかを説明することが求められると考えています。

新しい給与を通知する書式は

給与の引き下げに合意が得られたならば、新しい給与を書面で通知します。
給与のカットする期限を切って約束できるのであれば、改定内容にその期間を記載します。
ただし、言うまでもないことですが、給与カットを戻す時期が定まっておらず、確実に約束できないのであれば、給与カットの終わりの期間は書くことはできませんのでご注意ください。

給与減額改訂通知書

就業規則を改定して労働条件を下げる

一時的な給与カットと違って、労働条件を中長期的に変更するとき、就業規則を変更して周知することで労働条件を下げること ができる場合があります。
就業規則の変更手続きに、一人一人の労働者が反対する権利を保障されているわけではありませんので、次のような要件がそろったときに限って、就業規則を変更し周知することで労働条件の変更ができます(根拠は労働契約法第 10 条)。

  • 変更後の就業規則を労働者に周知していること
  • 就業規則の変更内容が次の観点から合理的なものになっていると評価できること
  1. 労働者が受ける不利益の程度
  2. 労働条件の変更の必要性
  3. 変更後の就業規則の内容の相当性
  4. 労働組合や従業員代表との交渉過程
  5. その他の就業規則の変更にかかる事情

また、このような場合でも、個別の労働者と他より優位な内容で「就業規則を変更してもあなたの労働条件を変更することはない」と合意をしている労働者がいたならば、その人の労働条件は本人の個別の同意がなければ労働条件は変更できません。