ワンズライフコンパス株式会社
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この号の内容

  1. 病気休職は労働を免除している
  2. 有給付与は労働日に与える
  3. 休む期間が想定しにくい特性
  4. 病気休職期間等を規則で定める

 

 

 

 

病気休職は労働を免除している

うつ病などで会社を長期に休む社員がみられるようになり、休んでいる社員身分の問題や、有給休暇および給料の扱い等について質問を受けることが増えました。

その質問の一例として、 一定の手続きを経て病気休職を発令した社員から、有給休暇を請求されたときどのようにするべきか対応に困るという例があります。これについては、休職期間中の社員には有給休暇を与えなくても労基法第39条の有給休暇付与義務に違反するものではないと考えられています。

病気休職期間の長さについては、会社ごとに決めることができます。よって、適切な長さとその所定の手続き方法を決めて、休職期間が満了した時に退職とするか解雇と扱いにするかも就業規則で決めておくことなど、休職という制度を整えておくことが必要です。

有給付与は労働日に与える

有給休暇は、賃金の減収を行わずに労働を免除するもので、休日はもちろんのこと、その他の労働義務がない日については、労働者が有給休暇を請求する余地がありません。

ですから、休職についてその手続きを経てきちんと休職発令をしており、労働を免除するが在籍しているのであれば、そもそも労働を免除しているために、有給休暇を付与することにはなりえません。

これについては、「休職となった時は、就業規則に基づいて休職期間中は完全に労働が免除され、また使用者としても就労を要求しないとされている場合には、この期間中は年次有給休暇を取る余地が理論的に成り立ちえないと考えられる。」(昭31.2.13基収489)という通達があります。

また、これらは、一般の休職の場合にもあてはまります。

休む期間が想定しにくい特性

従来、病気で会社を休む社員は、治癒する見通しを想定しやすい場合が多く、職場に戻った後に体調不安になるかも知れないと思い、有給休暇は職場にもどった後でも請求できるように、多少は残しておきたい。というケースが多くみられました。

しかし、うつ病などで休む社員は、療養の期間が長期にわたり病気休職期間を満了になって、退職するケースもあります。

休職発令する前に有給休暇を請求せず残したまま休職期間が満了するケースでは、休職満了直前になって有給休暇を請求しても、会社がこれに応じなくとも違反にはなりません。これは、社員にとってみれば、請求できた有給休暇を残したまま退職になることになります。

病気休職期間等を規則で定める

病気療養をし治癒の見通しを立てにくい社員が休みだすときには、復帰の予定を立てにくいむつかしさを抱えています。ですから、会社も社員も労務管理や社員身分の取り扱いが争点にあることがあり、就業規則でルールを明確にしておくことが必要です。

有給休暇などを使った病気の欠勤のあと、病気休職になり、そしてあらかじめ定めた休職期間に復職しない場合は退職になることを想定し、それぞれの期間の設定と手続き方法および復職するときの判断方法等を就業規則に定めておくことがますます必要になってきます。