ワンズライフコンパス株式会社
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働き方改革法_1 概要と労働時間

  1. はじめに
  2. 労働時間の適正把握
  3. 時間外労働上限法規定に
  4. 施行後の実務

 

 

 

 

はじめに

通常国会は閉幕し、その中で働き方改革関連法律案が成立(以下は、働き方等法改正といいます。) しました。
働き方等法改正に伴って、省令や解釈をまとめたQ&Aがこれから整備されてきますので、各社が行うべき具体的対応はまだ流動的な部分があります。ただし、改正を見据えて取り組みを始めるべきものもあります。

今回はその中から、労働時間の適正な把握と時間外労働の時間上限の概要と改正後の実務のポイントを解説します。

労働時間の適正把握

働き方等法改正では、時間外労働の上限時間数や、中小企業の割増賃金措置の廃止や、労働者の健康に配慮する内容が多く、これらに取り組むには、まずは労働時間の適正な把握が必要になります。 なかなか難しい課題です。

改正法では、労働安全衛生法の改正として、「労働者の健康確保の実効性を確保する観点から、省令で定める方法によって把握をしなければならない。」と盛り込まれており、省令の公布を待つことになります。

現時点では、平成29年1月20付けでガイドラインが公表されており、省令はこれらがベースになると思われます。時間の把握について抜粋すると以下の通りです。尚、ガイドラインの詳細は文末のURLでご確認ください。

時間外労働上限数は法規定に

働き方等法改正では、時間外や休日の上限労働時間が労働基準法に規定され、法令で守らなければならない上限時間数であることが明確になります。
これまでも時間外労働時間の上限については、基準値が公表されており、労働基準監督署に「時間外時間外・休日労働に関する協定」(以下、36協定といいます。)を提出すると、その窓口等でも紹介されていましたが、法改正後は法令で規定されることになります。

また、臨時的な特別な事情がある場合の時間数の上限も1年間と月単位および複数の月の平均上限時間の3つの上限時間が労基法に規定されます。

 (施行日は2019年4月1日、中小企業における施行日は2020年4月1日となります。)

3.時間外労働等の上限時間とは

時間外労働の原則的な上限は 月45時間、年間360時間です。 
また、現在の36協定は、「1日」と、「1か月を超え1年以下の期間」、「1年間」の3つの期間について上限を協定するようになっていますが、改正後は、1日、1か月、1年間の上限時間を協定することになります。

そして、これまでと同じように特別条項付き36協定を結ぶと限度時間を延長できますが、臨時的な特別の事情を認める回数は、6か月を超えない範囲に限られ、
年間720時間
単月では100時間未満 (時間外労働と休日労働の合計時間)
複数月になる場合は平均時間月平均80時間 (時間外労働と休日労働の合計時間) が限度になります。

以上の上限時間には、適用除外があります。自動車運転業務、建設事業、医師等については、猶予期間を設けて除外となり、研究開発業務については、医師の面談指導を設けた上で除外になります。

施行後の実務

労働時間の適正な把握の安全衛生法は2019年4月1日施行です。今後交付される省令に沿って対応が必要です。

時間外等協定届について働き方等法改正が具体的に対象になるのは、36協定を締結する対象期間の全期間が2019年4月1日(中小企業では2020年4月1日)以降の協定です。
変更しなければならないポイントは次のとおりです。

●1日、1か月、1年の時間外労働の上限時間を協定する。現在は、たとえば1日、6か月、1年の上限で協定しているような事業所もあるが、期間の設定は1日と、1か月と、1年に変更する必要がある。

●特別条項を付ける36協定にも上限がある。1カ月、複数月、年間で設定された上限時間を超過できない。1カ月と複数月の時間は、休日労働も含んだ時間が上限時間を超過しないように協定をする必要がある。

●時間外等が長い企業においては、36協定の時間以内になるように、施行日までに労働環境を整えることが必要となる。

 

働き方改革関連法律案の解説は、次号以降に続きます。詳細は下記のURLでご確認いただけます。
厚労省が公表している法律の概要
https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/dl/196-39.pdf

H29.1.20付け労働時間の適正な把握のために使用者が構ずべき措置に関するガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/kinkyu/dl/151106-06.pdf