緊急事態宣言がでて新しい日常の日々ですが、今月もマンスリーニュースをお届けします
T.高年齢者雇用安定法(*)の改正で70歳までの就業を確保が
努力義務
70歳までの雇用制度を用意することが、2021年4月に努力義務として施行になります。70歳までの就業措置が義務化されるものではありませんが、ハローワーク等が指導や助言の必要があるとした場合は、高年齢者雇用安定法に基づいて指導・助言の対象になる場合がありますし、将来義務化される可能性もあります。(*)高年齢者等の雇用の安定等に関する法律
現時点で、他社はどのような制度を作っているか探したところ、高年齢者の雇用状況の集計(従業員31人上の企業が、毎年6月1日現在の高年齢者雇用状況を厚生労働省に提出する報告書の集計)が、2021年1月8日に公表されましたので、紹介します。
1.66歳以上働ける制度は企業の33.4%
今回集計が公表された数字の元になる報告書は2020年6月に提出されたものですから、70歳までの雇用措置が努力義務化になる前の状況下ですが、66歳以上働ける制度を33.4%の企業が用意していました。
規模別にみると、中小企業が34.0%で大企業が28.2%ですから66歳以上働ける制度は中小企業の方が高い割合になっています。
そして、希望者全員が66歳以上まで働ける企業は、
報告したすべての企業に占める割合が12.7%と少なく、66歳以上の雇用については、何らかの基準を設定している企業が多いことが見てとれます。
また、希望者全員が66歳以上働ける企業が採用している制度の内容を見て
みると、一番多い制度が、右表のとおり希望者全員を66歳以上の継続雇用制度で雇用するものでした。継続雇用制度が報告した企業全体で見れば7.5%にとどまっています。
2.定年制度廃止の企業は2.7%
定年制を廃止している企業は、報告書を提出した企業の2.7%にとどまっており、またその割合は前回調査から変動もなく定年制廃止が進む勢いは遅いようです。厚生労働省 令和2年 「高年齢者の雇用状況」集計結果は次のURLでご覧ください。 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_15880.html
3.4月の法改正と用意する措置
さて、4月1日に施行される法改正は、規模別の特例がなく、全ての事業主のうち、66歳以降の就業できる措置を制度化していない次の企業です。
〇 定年を65歳以上70歳未満に定めている事業主
〇 65歳までの継続雇用制度(70歳以上まで引き続き雇用する制度を除きます)
これらに該当する事業主は左図の何らかの措置を設けて、70歳までの就業を確保する措置を講じることが努力義務になります。
「就業確保措置」と言っているのは、雇用契約でない C D のように業務委託等の制度導入も可能になっていますが、一定の要件がありますので、ご注意ください。
70歳までの就業確保措置を定めたのちには、就業規則等の変更・届け出をします。
図表は厚生労働省のページパンフレットから抜粋しました。以下で詳細が確認できます
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/koureisha/topics/tp120903-1_00001.html
U.事務のトピックス
1. 60歳代前半の在職老齢年金は支給停止基準額が47万円にUPする
老齢厚生年金の受給をしながら働く被保険者の賃金と年金の調整について、60歳前半(64歳まで)の厚生年金支給停止の基準額が28万円から47万円に引き上げられます。
これによって、65歳以降の被保険者と同じように、総報酬月額相当額と老齢厚生年金の基本月額の合計が47万円(金額は毎年見直しされます)に達するまでは年金の全額が支給されます。また、合計額が47万円をこえると算式によって一部が減額されます。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147284_00006.html
2. 被用者保険の適用が拡大
現在は、週の労働時間が20時間以上等の一定の要件に該当する501人以上の企業は、厚生年金と健康保険の適用事業所になりますが、その人数要件が段階的に拡大されます。2022年10月から被保険者101人以上に、2024年10月から被保険者51人以上になります。(URLは@と同じ)
W.1月の事務トピックス
2月1日 法定調書、給与支払報告書の提出期限です。