連日暑い日が続きます。新型コロナ感染予防と付き合いながらの夏になります。マスクを着用しながらの夏は、なかなか厳しいものとなりますが、熱中症になって病院で治療を受けなればならない状況は絶対に避けたいですね。感染予防と熱中症予防を同時にお願いしたいと思います。
T.熱中症予防オンライン講習の紹介
職場における熱中症の予防対策について、オンライン講座が公開されています。11〜15分間で作成されてた管理者や作業者向けの動画がホームページ上で閲覧できます。熱中症については、すでに一般知識として知っておられると思いますが、昨年に引き続き今年もマスクも付けていることから熱がこもりますので、改めて情報収集をお願いしたいと思います。
動画は、症状の重さを3つの段階に分けて、対応方法を解説していますので参考になります。厚生労働省の委託事業として運営しているサイトで、職場における熱中症予防情報 オンライン講習(無料)のページはこちらです。
https://neccyusho.mhlw.go.jp/study2021/
U.ワクチン接種の休暇や労働時間
新型コロナワクチン接種は国からのワクチン供給量が行き渡らず、1回目の受付を一部で中止しているようですが、自治体の接種会場では徐々に65歳以下等の方々にも範囲を広げて進んでいます。職域接種や、商工会議所でも会員企業に接種を受け付けていますので、ワクチン供給量のバランスが整ってくると、現役世代への接種がさらに進みます。
社員が、ワクチン接種を受けるために就業日に休んだり労働時間の中抜けをしたり、接種後の副反応で1日程度休んだりすることがあります。接種については最終的に個人で判断して受けることになっていますが、安心して接種を受けられるように、労働時間等の取り扱いルールを周知しておくことをお勧めします。
なお企業には、例えば接種日に特別休暇を与えなければならないなどの、義務が課せられているわけではありませんので、企業の実情に合わせて、社員の多くが望むルールを決めておけばよいことになります。
まず、ワクチン接種の意味付けは、「新型コロナウイルス感染症の基本対処方針」(2021・5・28更新)に「まん延防止」の対策の一つとされています。休暇と労働時間の扱いや、どのような方針で社員へ接種を勧めるか、接種を希望しない社員へのハラスメント対応を考えるうえで知っておきたいことが書かれていますので紹介します(39から40ページを抜粋)。
- 予防接種目的は、新型コロナウイルス感染症の発症を予防し、死亡者や重傷者の発生をできる限り減らすことであること。
- 予防接種は最終的には個人の判断で接種されるものであること。
- 予防接種に当たっては、リスクとベネフィットを総合的に勘案し接種の判断ができる情報を(政府が)提供する必要があり、その上で、政府は国民が自らの意思で接種の判断を行うことができるよう取り組むこと。
「人と接することが多い職場で、ワクチン接種を社員全員に受けさせることができるか」という点について質問をうけることがありますが、接種は個人の判断で受けるものとされているため、企業が接種を強制することや、接種をしなかった社員を職務に就かせないことはできません。ですから、適切な情報を提供し、社員本人に判断をしてもらうことになります。
さて、2回の接種を受ける判断をした社員の接種日と、副反応の可能性がある翌日等が就労日であった場合は、次のような扱いとすることが考えられます。また、社員が家族の付き添いをすることまで含めて考えるかどうかもポイントになります。
1.中抜け時間を認めるケース | A:接種時に職場を離れてもよく終業時刻も変えない | B:接種時に職場を離れてもよいが中抜けの時間分については終業時刻を遅くする |
2.休暇または中抜け時間を管理するケース | C:欠勤扱い、または本人の請求によって年次有給休暇(1日又は時間単位)を付与する |
D:年次有給とは別に接種のための特別休暇等を付与し給与を払う | |
E:有給休暇の積立制度等の傷病休暇等を付与する |
なお、決して想定したいことではありませんが、こうした感染症が今後も起こりうる可能性がありますから、幅広い運用ができるような表現で、就業規則に記載することをお勧めします。顧問先の企業様には、来年の育児休暇の改正などと合わせて、改正を相談させてください。