ワンズライフコンパス株式会社 ワンズオフィス社労士事務所 発行人 大関 ひろ美
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雇用期間が終わっても更新してほしいA君は「労働契約法改正」でどうなるのか?

  1. 契約更新を希望するA君の対応Q&A
  2. 期間を決めた労働契約で知っておくべきこと
  3. 労働契約法改正の期日
  4. 「雇止め法理」の法制化について
  5. 雇止め法定化に対応する実務とは

契約更新を希望するA君の対応Q&A

Q質問:A君に鈴木課長が「今年いっぱいの契約が終わったら更新しない」と伝えたら、A君からは「これまで契約更新を重ねて6年間働いてきたし、仕事を続けたいから更新をしてほしい」と言われました。契約期間満了なんだからという話で終わらないのですか?
回答:A君がこれまでにどれくらいの長さの労働契約を、どのように更新してきたかや、これまでの合計期間のによって個別の判断になりますが、契約しないことの合理的で相当な理由がなければ契約更新しなければならない場合があります。

期間を決めた労働契約で知っておくべきこと

「労働契約法の一部を改正する法律」が平成24年8月10日に公布されました。今回の改正では、有期労働契約について、下記の3つのルールを規定しています。 冒頭の更新を希望しているA君のケースがVに該当するとすれば、契約更新をしなければなりません。ただし確認しなければならない情報が不足していますが、A君のケースが期間の定めのない労働契約を希望しているわけではないとするれば、Tの改正に該当しません。

T.通算5年を超えた労働者の申し込みがあれば無期労働契約へ転換
 有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えたときは、労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できるルールです。

U.不合理な労働条件の禁止
 有期契約労働者と無期契約労働者との間で、期間の定めがあることによる不合理な労働 条件の相違を設けることを禁止するルールです。

V.「雇止め法理」を法定化
 最高裁判例で確立した「雇止め法理」が、そのままの内容で法律に規定されました。 一定の場合には、使用者による雇止めが認められないことになるルールです。

 さて、有期労働契約とは、1年契約、6か月契約など期間の定めのある労働契約のことをいいます。
  パート、アルバイト、派遣社員、契約社員、嘱託など職場での呼称にかかわらず、有期労働契約で働く人であれば、新しいルールの対象となります。
 サービス・流通業等でアルバイト等を雇う会社はもちろんですが、専門職の人材を1年契約の雇用にする場合もこれらに規定されますので、多くの経営者に知っておいていただきたい改正です。

労働契約法改正の期日

TとUは平成25年4月1日
Vは平成24年8月10日

「雇止め法理」の法制化について

 3つの改正のうちVの「雇止め法理」については、すでに裁判等で繰り返し述べられたものを労働契約法に規定したため、改正法の交付日、8月10日から施行がされており、今回はこの変更の概略を解説します。残りの2つの改正は次号に解説予定です。

 まず、有期労働契約は、もともと契約が終わる日を約束していますから、その日の翌日には労働契約が終わるものです。
 しかし、「次のいずれかに該当する場合で労働者本人が更新の申し込みをしたら、使用者は合理的で相当の理由がなければ承諾したものとみなされ契約が更新される」というもの今回の改正のひとつです。

(1)有期契約が過去に繰り返されていて、期間の定めがない契約かのような運用がされてきた場合
 改正法は何回繰り返されたかや、これまでの通算契約期間を定めていませんので、実際には総合的に判断されると考えるのが妥当です。

(2)有期契約といっても更新されるものと期待をさせていた場合
 更新されると期待することについて合理的な理由があるかどうかで判断さると考えるのが妥当です。

 また、労働者が更新の申し込みをする方法は限定されていませんので、書面でなくても口頭で申し込みもよいことになっています。  そして、この改正法が有効になる労働者の更新の申し込み時期は、契約が終了する前か、契約が終了しても遅滞なく申し込みをすればよいことにもなっています。
 なお、以上の経緯で更新された労働契約は、期間を定めない契約にしなければならないわけではありません。
期間の定めのある労働契約を更新したものとされます。

雇止め法定化に対応する実務とは

 有期雇用契約の方法を選択している企業では、トラブルを回避するために、契約更新の管理が今まで以上に大事になります。
 個人ごとに契約更新の手続きチェックシートを作成し更新状況、次回の更新協議の時期、本人の意向確認結果、契約更新・不更新の提示実務をもれなくきちんと行っていくことが必要です。

 次回は、本人が希望すれば無期労働契約への転換をしなければいけない場合を解説する予定です。

厚生労働省作成の労働契約法改正のリーフレットで概要がご覧になれます。 http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/keiyaku/kaisei/dl/h240829-01.pdf