ワンズライフコンパス株式会社 ワンズオフィス社労士事務所 発行人 大関 ひろ美
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この号の内容

  1. 採用募集は好調傾向
  2. 退職を考えている人の問題とは
  3. 退職を取り消したいという人もいる
  4. 合意解約と辞職とは
  5. 合意解約や辞職と解雇の区別について

”退職の意思は書面を受け取って確認しておきたい"

 

 

 

 

 

 

 

"期間を定めない雇用契約では、退職の申し出は2週間前が基本”

採用募集は好調傾向

仕事を求める求職活動をしている人の割合を示す完全失業率が3.7%(2014年1月総務省)に減少するという数字に表れているように、人材の募集は好調傾向にあるようです。
そして、需要が見込まれている建設業においては人材不足感が続いており、外国人の研修生制度の拡大が検討されていることが話題になっています。
こうした世の中の情勢もあるのか、経営者から、「社員が転職を考えており、近く退職したいといわれている。」とご相談を受けることがあります。

退職を考えている人の問題とは

社員の退職申し出について使用者が同意する退職には、合意解約と辞職があります。
お互いに合意をすれば、なんら問題がないわけですが、退職することについて社員の決意が揺れ動いているときには、しばらくすると退職する申し出があったのかどうかあいまいで、やめるとすれば何日なのかもよくわからなくなってしまうケースがあります。
実際には、社員の話を聞いて退職の決意があるのであれば、きちんと書面で確認し、退職願を受け取ることが必要です。

退職を取り消したいという人もいる

社員が退職を申し出て会社側がその思いを受け取り、合意解約があったならば、使用者の承諾があった時点で合意解約が成立します。
しかし、もしまだ退職の決裁権を持つ人事部長などの承諾が出る前で、社員が退職の申し入れを撤回したいというならば、撤回は可能です。
会社側から見れば、社員が言う退職の取り消しを受け入れなければいけません。

ただし、社員がいったん退職を言い出した背後には、退職を思い立った経緯が何かあるでしょう。
ですから、職場の配置転換や労働条件の改善など、問題を解決して同じ職場に戻れるかどうかも検討する必要があります。 こうした問題の観点からも、退職届を提出するなど退職手続きのルールを就業規則等に定めることに加えて、日頃の労務管理が重要であることは言うまでもありませんね。

合意解約と辞職とは

改めて考えてみますと、社員と会社は雇用契約を結んでいますから、社員が退職を申し出ることは、契約の当事者の一方である人から雇用契約という契約の終了(解約)を申し入れることになります。
「合意解約」とは、雇用契約を従業員と使用者の双方の意思に基づいて解消することです。 これに対して、「辞職」とは雇用契約の当事者のひとりである社員から一方的に解消を申し入れる意思表示です。

では、社員の辞職の申し入れに対して、使用者が承諾しないと退職できないというような規定をおいて、従業員の辞職の自由を制限できるかというと、公序に反して無効とされると考えるのが妥当です。(*1)
  (*1)参考文献:大内伸哉著 労働法実務講義(第2版) 日本法令

では社員が一方的に解消を申し入れる「辞職」の意思表示の時期、いわゆる何日前に申し出るかということについては、何か決まりがあるのでしょうか。
契約期間の期間を定めず、契約期間が終わる期限を約束しないで、定年退職まで雇用する契約の場合は、2週間前に申し入れれば解約できるとしています(民法第627条)。

ただし、月給などで給与計算期間の締め切りがある会社では、計算期間にあわせて次のようになっています。
 ・計算期間の前半に退職を申し出た場合は、その計算期間の末日に退職できる。
 ・計算期間の後半に退職を申し出た場合は、次の計算期間の末日に退職できる。

しかし、現実には突然退職を申し出られると会社は困りますから、引継ぎや後任を手配する期間を見込んで、多くの会社は1か月前までに申し入れる等一定のルールを定めています。

合意解約や辞職と解雇の区別について

合意解約と辞職は、社員の退職意思が示されると言う点では、同じです。ただし、合意退職も辞職も、実際には使用者によって退職を強要されていたり、使用者側に何らかの問題があって、その結果が退職意思に結びついているような場合は、実質的に解雇なのではないかと問われることがあります。
使用者が退職を強要したような場合は、使用者の脅迫があったことを理由に従業員は退職の意思表示を取り消すことができます。(民法96条)