ワンズライフコンパス株式会社 ワンズオフィス社労士事務所 発行人 大関 ひろ美
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割増賃金確認のポイント

  1. 割増率の再確認
  2. 時間当たりの単価は正しいか
  3. 割増単価に含めない住宅手当とは
  4. 残業手当の固定払いの注意点
  5. 労働時間の端数切捨てはできません

割増率の再確認

  割増賃金の種類は3種類です(詳しくはRシリーズ3 割増賃金について をご覧下さい)。
 ◎時間外手当(残業手当等)・・・1日8時間、1週40時間を超えた時・・・25%以上
 ◎休日手当・・・法定休日(週1回)に勤務させた時・・・35%以上
 ◎深夜手当・・・22時から5時までの間に勤務させた時・・・25%以上

時間当たりの単価は正しいか

 月給制の場合は、1時間あたりの賃金に換算してから割増賃金を計算します。  

 1時間あたりの賃金=月給(*) ÷ 年間平均の1ケ月所定労働時間

*ここでいう「月給」には次の手当等は含まれません。

(1)家族数で支給する家族手当・扶養手当・子女手当、距離数に比例して支給する通勤手当、家賃に比例して支給する住宅手当。(一方でこれらの手当が一律支給の場合は月給に含みます)

(2)別居手当・単身赴任手当・臨時の手当等。(結婚、出産祝、大入り袋)

【計算例】
基本給235,000円、皆勤手当8,000円、交通費(定期券代相当)15,000円・年間所定休日122日、1日の所定労働時間が8時間の場合の割増賃金の1時間あたりの賃金(以下時間単価といいます)を確認してみましょう。 その年の割増単価を毎月見直さなくてもよい方法として、1年間における月平均の所定労働時間を使って計算する例を示します。

まず1ケ月平均所定労働時間を計算
365日−年間所定休日=年間所定労働日数・・・A
A×1日の所定労働時間÷12ケ月=1ケ月平均所定労働時間

(365−122)×8÷12=162


次に時間単価を計算
月給÷1ケ月平均所定労働時間=時間単価

(235,000+8,000)÷162=1,500円

そして、時間単価に割増率と割増を払う義務がある労働時間を掛けて手当を計算します。

割増単価に含めない住宅手当とは

 次のように住居費の費用に応じて支給する住宅手当は、基本的に時間単価に含めません。また手当の名称に関わらず、実質により判断します。
(1)賃貸住宅であれば・・・居住に必要な住宅の賃借のために必要な費用に応じて算定
(2)持ち家であれば・・・居住に必要な住宅の購入、管理等のために必要な費用に応じて算定

○例えば、次のような住宅手当は時間単価に「含めなくてもかまいません」。
(1)賃貸住宅の家賃や持ち家者のローン月額に一定の割合を掛けて支給する場合
(2)家賃月額5〜10万円には2万円、家賃が10万円を超える場合は3万円を支給する場合

一方で、住宅に要する費用以外のものに応じて算定される住宅手当や、費用に関わらず一律に定額で支給される手当は時間単価に含めます。

○例えば、次のような住宅手当は時間単価に「含めます」。
(1)賃貸住宅居住者には一律2万円、持ち家居住者には一律1万円を支給する場合
(2)社員全員一律に1万円など定額で支給する場合

残業手当の固定払いの注意点

 割増賃金の基本は、実際に労働した実績時間の全部に対して、毎月全部を支払うことです。ですから、残業手当の計算を毎月行う手間を省くために、実際の残業時間にかかわらず、例えば「業務手当」として一律支給している場合で、実際の残業時間に対して支払い不足があれば追加で支払う必要があります。 また、一律支給する場合は、「業務手当」等が残業手当の定額払いであることを就業規則等に明記して、事前に説明をすることが必要です。なお、実際の残業手当と業務手当等との不足額を翌月に繰り越して相殺することはできません。

【手当名称のつけ方】
  解説したように「業務手当」などの名称で、時間外45時間分等を計算した定額の手当てを払っている会社を見かけますが、社員に説明しやすいように、「みなし残業手当」という名称にするほうが手当の意味を正確に伝えられると思います。

労働時間の端数切捨てはできません

 1日の労働時間は1分単位で支払わなければいけません。
 端数を毎回切り上げることは問題がありませんが、切り捨てることはできません。ただし、「1ケ月の労働時間を通算して」30分未満の端数が出た場合には切り捨て、30分以上の端数を1時間に切り上げて計算することは認められています。


 また、割増賃金の計算の過程で
(1)1時間あたりの賃金額および1時間あたりの割増賃金額に1円未満の端数が生じた場合
(2)1ケ月間の時間外労働、休日労働、深夜労働について、それぞれの割増賃金に1円未満の端数を生じた場合
は、就業規則等に定めたえうで、「50銭未満を切捨て、50銭以上を1円に切り上げる」ことができます。