この号の内容
- はじめに
- 現行の高年齢者雇用安定法
- 雇用は厚年の比例報酬支給開始年齢までと提案された
- 人事トピックス
- 2月の人事労務
"第180 回国会(常会)は平成24年1月24日に召集されます"
はじめに
今回で185号となり、新しい年になったこともあって、紙面構成を新しくしました。わかりやすく、情報をお伝えしますので本年もどうぞよろしくお願いします。
日本は、先進国のなかでいち早く少子高齢化を迎えるために、国民が幸せな暮らしを送るための政策が検討されており、また、他の先進国からも注目をされているようです。
知ってはいるものの、改めて調べてみると、2025 年には 65 歳以上人口が全人口の3割を超えると見込まれています。この数字には驚かれることだと思います。どうやって収入を得る仕組みを考えるのか、労働政策審議会がだした「今後の高年
齢者雇用対策について」を概観したいと思います。
現行の高齢者雇用安定法では、
60 歳定年及び65 歳まで(平成23 年12月時点では64 歳)の雇用確保措置を義務
化していますが、例外的に、労使協定を結び継続雇用の人選基準をおくことがで
きます。その結果、もれなく希望者全員を65歳まで雇用する義務はありません。
一方で、会社員が受給する厚生年金の支給開始年齢は、段階的に引き上げられ
ており、男性については、定額部分は平成25年度に65 歳までの引上げが完了
し、25年度から、報酬比例部分についても61歳に引き上げられる(平成37 年度ま
でに65 歳まで段階的に引上げ)ため、もう来年の平成25年には無年金・無収入と
なる人が生じる可能性があります。
収入については、個人が考えるとともに、政策として社会制度を整えておかなけれ
ばならないという側面があります。こうしたことから、企業が雇用を延長することが提
案されています。
雇用は厚年の報酬比例支給開始年齢までへ
段階的に雇用年齢を引き上げる法律に改正することを労働政策審議会が提案しています。方向性は、雇用する人を選ぶ基準を取り払って、年金開始年齢までは雇用を希望する人全員が働くことができる社会を目指しています。労働条件につ
いてはふれていませんので、60 歳以降は合意をもって新しい賃金にすることも可能でしょう。
そして、@親会社、A子会社、B親会社の子会社(同一の親会社を持つ子会社間)、C関連会社など事業主としての責任を果たすことや、中小企業には政府の支援が必要であるとしています。
なお審議会の提案は、比較的短期の問題解決を議題にしているため現行の厚生年金ルールを前提にしています。今後、厚生年金の支給年齢をさらに引き上げることが検討されるのであれば、雇用の問題も改めて考えていかねばなりませ
ん。今後の動きを注目したいと思います。
人事トピックス
- 労働者派遣法の改正案等は、継続審議になる
平成 23 年 12 月 9 日に臨時国会が閉会しましたので、継続審議になったものは、次のとおりです。
・労働者派遣法の改正
・労働安全衛生法の改正
健康診断にメンタルチェックを医師の面談につなぐ受動喫煙の防止策ほか - 労働保険料率の引き下げに動く
平成 24 年 4 月 1 日に労災保険料率が平均で 1000 分の 5.4 から 1,000分の 4.8 へ引き下げられる見込みです。改正の省令が出れば 4 月 1 日から施行される予定です。
"平成25年4月に60歳になる男子の厚生年金支給開始は61歳から"