この号の内容
- はじめに
- 非正規社員の社会保険は
- ちまたのパート募集条件は
"改正されれば、首都圏で年間を通じて週20時間以上働くパートは、おおよそ被保険者に"
はじめに
オフィスの近くの駅ビルにスーパーマーケットがあります。日常的に買い物をするスーパーは、他にも3店舗あり、その日の行動パターンにあわせて店を使い分けているのですが、それぞれの価格・品ぞろえ・サービスの違いが面白いです。
ただし、どの店も、レジのときに選択することが増えていて、急いでいるときなどは返答するのも面倒なことがあります。
- レジ袋を使うか(実質は、有料になっているのでレジ袋を買うかどうか)
- ポイントカードをもっているか
- 現金払いか、ポイントやクレジットカードやスイカで払うか
- 生ものを小袋にいれるか
など、次々と、しかも客の機嫌をとりながら丁寧に質問されます。パートタイマーと思われるレジパートも定型のサービスとはいえ結構大変です。そこでこの仕事は、労働条件に見合っているのでしょうか?と気になるわけです。
ご存知のとおり、パートタイマーが厚生年金や健康保険の加入者(被保険者)になる範囲を広げようと検討されています。
また、実際にどれくらいの労働条件の人が対象になるのか考えてみました
非正規社員の雇用保険は、
現行では、通知によって、適用事業所に「常用的使用関係にあるかどうか」によって被保険者になることになっています。 この判断の目安は、つぎのいずれの条件にも該当する人です。
- 1日の勤務時間が一般の社員のおおむね3/4以上
(日によって勤務時間が変わるときは1週間をならして比較する) - 1カ月の勤務日数が一般社員のおおむね3/4以上
この条件に該当をすれば、年収に関係なく勤め先で厚生年金と健康保険の被保険者になり、給与できまる標準報酬月額などから計算した保険料を会社と本人が半分ずつ負担します。
一方で、この条件に該当しなければ、自分で国民年金と国民健康保険に加入するか、扶養者家族の被扶養者になって社会保険に加入します。
社会保険審議会や、それをうけた民主党内では、「勤務時間が1週20時間以上」の条件で勤め先の社会保険の被保険者にするように改正しようと検討しています。また、年収基準も設けようとしていますが、65万円から85万円程度でいくら以上の人を対象にするかは、世論をにらみながら揺れ動いているようです。
ちまたのレジパート募集条件は、
ウェブに公開されている範囲で、渋谷近隣の3店舗のレジパート求人の労働条件を並べてみると次のとおりでした。
A店 | B店 | C店 | |
時間給 | 950 円(勤務別に時間
割手当、 休日手当、繁 忙手当を 100 円加算) |
980 円から | 900 円〜950 円 |
シフトな ど | 4 時間〜8 時間 | 朝、昼、夕方、 夜のシフト |
4 時間以上、 勤 務日は相談 |
社会保険 | 一定の基準を満たすと加入 |
*記載の順はあくまで個人の感想で、サービスの質が高いと感じる順に A →C 店と並べてみました。時給は僅差のようです。
では、勤め先の社会保険の被保険者に加入する要件に年収を加えるかどうかどうかについて、その影響を考えてみます。
例えば、B 店の時給 980 円のパートが週 20 時間勤務したとすると、 980 円×20 時間×52 週=約 102 万円 ですから、年収を65万円や85万円以上の人という基準設定は、どこにおいても被保険者となります。年収基準設定は、時間給の高い首都圏ではあまり影響がなく、たとえば6か月
の短期契約などの短い雇用契約パートを厚生年金等に取り込むかどうかの問題になってくるのです。
社会保険審議会(平成 24 年 1 月 30 日)は、資料が公開されています。
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000022c32.html
"非正規社員の社会保険加入が拡大されると、パート比率の高い流通業等の負担増加が見込まれる"