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「育児休業後の現職復帰への配慮について」

  1. 現職復帰は努力義務
  2. 均等法の規定では
  3. 労働環境の話し合いが大切

平成 21 年度の育児休業取得率は、女性労働者が 85.6%、男性が 1.72%です。

育児休業を取得した従業員が復帰したとき、育児介護休業法は、円滑に復帰させる努力を企業に求めています。では、従来の担当職務に戻すことを求めているのでしょうか。

現職復帰は努力義務

育児介護休業の指針と、育児に関する通知で は、現職または現職相当に復帰させる配慮を求 めており、「原職相当職」の範囲は、個々の企業 の状況、業務配分、その他の雇用管理の状況 によって様々だと認めたうえで、

  1. 休業後の職制上の地位が休業前より下回っていないこと
  2. 休業前と休業後とで職務内容が異なっていないこと
  3. 休業前と休業後とで勤務する事業所が同一であることのいずれにも該当する場合には、「原職相当職」と評価されるものである。

としています。

これらは、現職相当に復帰させる配慮を求めているけれども、企業の合理的な判断による地位や担当職務の変更が、ただちに育児介護休業法に違反するものではないと解釈できます。

育児介護休業の間に、社内の状況が変わったり、復帰後に短時間勤務を希望しているケースが多いために、まったく同じ職務についけることが難しいことはよくあるのではないかと思います。

均等法の規定では

育児休業をした人が女性労働者であった場合は、雇用機会均等法第9条3項は、女性労働者が妊娠・出産・産前産後休暇をしたことを理由に不利益な配置転換をすることを禁止しています。ですから、産前産後休暇や育児休業を取得 したことをことだけをもって配置転換をし、かつ不利益な配置転換をするとはできませんから、配置先をよく検証しなければなりません。

労働環境の話し合いが大切

育児休業後に復帰した女性社員の担当職務を変更し、それに伴う年俸の減額措置が争われた例があります(平成23年3月17日東京地裁判決)。
この例では、担当職務変更は業務上の必要性に基づいておこなわれたもので、年俸の減額も違法でないとされました。ただし、年俸のうち成果報酬が正当に査定されなかったことについて慰謝料30万円の支払いが命じられました。

実際は、育児休業から復帰した労働者が育児と仕事を両立しながら、企業にも貢献してもらう労働環境をよく話し合う必要があると思います。