この号の内容
最近の労働関係法律改定への動きトピックス
- 無期雇用へ転換の申し入れ緩和の動き
- 派遣契約期間受け入れ制限緩和の動き
- 派遣の専門26業務区分の廃止も検討
"解雇の金銭解決等も議論がありましたが、見送られるもようです"
無期雇用へ転換の申し入れ緩和の動き
現在雇用に関する法律等に関して、規制の緩和や改正する方向へ検討が進んでいるものがあります。2013年の年末にあたり、この号でまとめておきたいと思います。
地域を限って規制を緩める国家戦略特区が12月7日に可決成立しました。これから諮問会議で特区の地域や内容が決まってきます。その中で雇用に関連した項目は、これまでに出ていたものよりもやや絞られた結果になっていますが、次のようなものです。
1)有期雇用の特例
東京オリンピックまでのプロジェクトを実施する企業が、7年間限定で無期雇用を高い処遇を提示して雇用できるようにする。
現在は5年間経過した有期雇用契約は本人が希望すれば無期雇用に転換を申し出ることができるが、その特例を作ろうとするものです。
また、新規開業直後の企業や、グローバル企業等の中で、重要でかつ時限的な事業に従事する有期労働者も無期転換申し込み権発生までの期間を長くする特例を作ろうとするものです。ただし、「高度な専門知識等を有している者」、「比較的高収入を得ている者」などに限定するもようです。
2)労働契約のガイドライン、助言
新規開業直後の企業や、グローバル企業等が雇用ルールを的確に理解することで、雇用契約に関する争いを生じさせないように「雇用労働相談センター(仮称)」を設置しようとするものです。
また、雇用ルールのガイドライン作成と、助言等も予定しているもようです。
国家戦略特区法については、こちらでご確認ください。
首相官邸 国家戦略特区特集ページ
http://www.kantei.go.jp/jp/headline/kokkasenryaku_tokku2013.html
派遣契約期間受け入れ制限緩和の動き
「今後の労働派遣制度の在り方に関する研究会」がまとめた報告書が8月に公表され、現在は労働政策審議会(厚労相の諮問機関)において審議が進んでいます。 その審議の1つは、「雇用期間を区切らずに契約している無期雇用派遣は派遣期間の制限なしへ緩和する」ものが含まれています。
まず、派遣雇用契約の契約期間の種類を有期雇用派遣契約と無期雇用派遣契約に分けており、 無期雇用派遣は正社員代替防止の対象から外し、ただし無期雇用の労働者にふさわしい良好な雇用の質の確保を図っていくことを検討しています。
派遣の専門26業務区分の廃止も検討
また、派遣期間受け入れ緩和のもう一つは、派遣可能期間の制限がないとしている現在専門26業務という区分わけの廃止を検討しています。 ファイリング業務などの専門26業務は、派遣可能期間の制限がないので、派遣契約上は専門26業務に従事させることにしておき、実際は専門26業務以外の業務をさせている例があるといわれています。また26業務の該当の判断が難しいことも理由にあげて、そもそも専門26業務を廃止することも含め検討しています。
そして、有期雇用派遣は個人単位で派遣期間制限を管理することも検討に挙げられています。 現在、派遣可能期間に3年間という上限がある専門26業務以外の有期雇用派遣は、派遣先会社の派遣業務ごとにその受け入れ期間が判断されています。これを派遣労働者ひとりの期間の管理方法にするとともに、長く同一業務に派遣されないように個人単位で派遣期間の上限を設定すること等を検討しています。
”改正を重ねている派遣法。派遣を求める企業のニーズと、派遣という働き方を選択する人のニーズがある一方で、正社員を希望する人が正社員職につけない環境を改善したい政策背景がある。"