この号の内容
- 労働時間の取り組み
- 現在使える助成金
労働時間の取り組み
現在、健康への配慮などを考えて、政府がけん引する格好で多くの労使が長時間労働の改革を検討しています。
昨年から政府が開催していた「働き方改革実現会議」は、平成 29 年3月 28 日 に第10回を終えて、働き方改革実現会議決定を発表しました。今後は労働政策審議会を経て、労働基準法等の改正案が提出される方針のようです。
「働き方改革実現会議決定」の資料では、勤務間インターバル制度については、「労働時間等の設定の改善に関する特別措置法を改正し、事業者は、前日の終業時刻と翌日の始業時刻の間に一定時間の休息の確保に努めなければならない。」ということを努力義務にする方向のようです。
また、政府は、同制度を導入する中小企業への助成金の活用や好事例の周知を通じて、取り組みを推進していくとしています。
現在使える助成金
現時点でもすでに厚生労働省は、職場意識改善助成金の一つとして、勤務間インターバル導入コースを用意しています。2017年2月15日から、申請受付を開始しました(事業実施承認は2017年4月以降です)。
@助成金の概要
労働局をはじめ厚生労働省は、職場意識改善助成金(勤務間インターバル導入コース)の活用を呼びかけています。もし時間外労働が長い事業場であれば、仕事のモチベーション向上にもつげることができる施策になると思います。
さて、この本助成金でいう「勤務間インターバル」とは、休息時間数を問わず、就業規則等において「終業から次の始業までの休息時間を確保することを定めているもの」を指しています。
なお、就業規則等において、〇時以降の残業を禁止、〇時以前の始業を禁止とするなどの定めのみの場合には、勤務間インターバルを導入していないものと判断されます。
成果目標に達した場合に、支給対象となる取組みに要した費用の一部が助成されます。具体的には費用の4分の3を乗じた額が助成されます。ただし、下表のとおり上限額が設定されています。
補助率と上限額については、対象となる事業場において、勤務間インターバルの「新規導入」は表1(*)、勤務間インターバルが「適用される人の範囲の拡大」又は「勤務間インターバル時間延長のみ」の場合は、表2となり、もっとも短い休息時間数に応じた支給となります。
A勤務間インターバルの例
たとえば、10:00から19:00までを所定労働時間とし、休憩は途中に1時間とする事業場が、時間外労働の終了時点より翌日の始業時刻までの間、連続した休息時間(インターバル)を11時間設けたとします。
その事業場では、24:00まで時間外労働をした社員には、翌日の労働開始まで11時間インターバルをおいて労働の開始時間は11:00とすることになります。
この場合、いくつか制度設計が考えられます。
1)始業時刻は11:00からとし終業時刻を20:00というように労働の開始と終業時刻双方を1時間遅れにスライドさせる方法で次の図1(*)のようになります。
2)始業時刻を1時間繰り下げて終業時刻は19:00のままで、実際の労働が7時間であっても賃金控除をしない方法
3)始業時刻を1時間繰り下げて終業時刻は19:00のままで、実際の労働は7時間のため不足分1時間の賃金控除をする方法
などが考えられます。
職場意識改善助成金(勤務間インターバル導入コース)の詳細については厚生労働省ページでご確認ください。
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000150891.html
申請受付けは2017年12月15日までですが、予算金額に達した場合等は受付けを締め切ることがあるとのことです。
助成内容は記載時点の内容のため今後変更されることがあります。随時厚労省のホームページ等でご確認ください。 (*注)文中の図表は厚労省のホームページから引用しました。