本年もよろしくお願いいたします。このところ労働条件関連の法改正等が続いています。2020年に予定されている事項を紹介します。一覧にまとめてお知らせしました。個別のご相談はお問い合わせください。 以下【 】は、法令の省略として一般に使われる名称で表記します。
1.ハラスメント・同一労働同一賃金など
2020年4月〜
@同一労働同一賃金によって、派遣労働者の処遇が改善されます。【派遣法】
派遣元事業主は「派遣先均等・均衡方式」または「労使協定方式」によって派遣労働者の賃金等の知遇を確保しなければなりません。
A 非正規労働者(パートタイマー、有期雇用労働者、派遣労働者をさします)の雇用環境整備が一つの法律に規定されます。*注)【パートタイマー・有期雇用労働法】
「非正規社員」と「正規社員」を比較して、非正規社員が不合理な待遇差があってはならないことになります。非正規社員に対しては、待遇に関する説明が義務化になります。
*注)Aの中小企業にパートタイマー・有期雇用労働法が適用される時期は猶予があり、大企業より1年先の2021年4月からです。派遣社員については、中小企業の猶予はありません。詳しくは厚生労働省のページで確認できます。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000046152.html
2020年6月〜
Bパワハラ防止対策が法制化されます。【労働施策総合推進法】
パワハラの定義が規定されます。また、事業主はパワハラ防止の社内方針の明確化や周知、相談体制の整備、被害を受けた労働者の保護や再発防止が義務化されます。(中小企業は2022年3月まで努力義務です)
Cセクハラやパワーハラスメント等に関して相談をした従業員に不利な益取り扱いをすることが禁止になります。【雇用機会金均等法等】
2.労働法関連
2020年4月〜
D賃金等請求権の時効が2年から当分の間は3年に延長されます。さらに最終的に時効は5年とすることを目指しています。【労基法】
E時間外労働の上限規制が以下のとおり中小企業にも適用されます。これらは、大企業に2019年から適用されている内容です。【労基法】
時間外労働の上限は、原則として月45時間・年間360時間となり臨時的な特別の事情がなければこれを超えられません。臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合でも以下の時間とする必要があります。
時間外労働・・・年間720時間以内
時間外労働+休日労働・・・月100時間未満、2〜6か月平均月に80時間以内
F36協定届は中小企業も新しい様式で提出することになります。【労基法】
*EとFについては以下の厚労省のページが参考になります。
https://www.mhlw.go.jp/hatarakikata/overtime.html
G受動喫煙防止措置の明示が必要になります。【職安法施行規則】
従業員募集や求人申し込みの際に受動喫煙対策を講じているか明示が必要です。
3.雇用保険法関連
2020年1月〜
H事業者はハローワークインターネットサービスでハローワークに求人申込みができます。
2020年4月〜
I64歳以上の雇用保険被保険者は保険料が免除されていましたが、保険料負担が始まります。
J週10時間以上20時間未満の障害者を雇用する一定の事業主に特例給付金が支給されます。
K障害者雇用に関する優良な事業主の認定制度が創設され条件を満たした(常用労働者300人以下の)中小企業は、優良な事業主として認定されます。
4.社会保険法関連
2020年4月〜
L健康保険の被保険者は国内に居住していることが要件に加わります。例外として、日本からの留学生や海外赴任者に同行する家族、海外赴任中に生まれた子等は被扶養者になります。【健康保険法等】
M後期高齢者医療保険料の賦課限度が62万円から64万円へ引き上げられます。
5.その他
2020年4月〜
N特定の法人は電子申請が義務化になります。特定の法人とは、資本金が1億円を超える事業所等をいい、電子申請が義務化される手続きは、次のものです。(弊所へ手続き代行を委任いただいている顧問先の皆様は電子申請を実施済みです)
雇用保険関係:被保険者資格取得届・被保険者資格喪失届・被保険者転勤届・育児休業給付金支給申請等
健保・厚生年金保険関係:被保険者報酬月額算定基礎届・被保険者報酬月額変更届・被保険者賞与支払届
労働保険関係:継続事業を行う事業主が提出する年度更新に関する申告書、増加概算保険料申告書 等
以下の厚労省のページが参考になります。
https://www.mhlw.go.jp/content/000511981.pdf
以上掲載時点の情報ですので、今後の動きにご注意ください。