T.2020年地域別最低賃金について
1. 東京都・大阪府は金額据え置き
毎年秋には最低賃金の改定があります。最低賃金については、「働き方改革実行計画」において、全国加重平均が1,000円になることを目指すとされています。都道府県ごとに決められた地域別最低賃金が出そろいました。東京都は1,013円・大阪府964円で変更ありません。関東近郊の金額は次のとおりです。
都道府県 | 最低賃金時間額 (カッコは前年時間額) 単位:円 |
発効年月日 | |
---|---|---|---|
埼玉 | 928 | (926) | 2020年10月1日 |
千葉 | 925 | (923) | |
東京 | 1,013 | (1,013) | |
神奈川 | 1,012 | (1,011) |
2. 最低賃金のチェック
最低賃金の時間額は、日給制以外の時間給制・月給制等の労働者に適用されます。基本的なことですが改めて、最低賃金を満たしていることを確認する方法を見ていきましょう。
時間給の場合のチェックは容易にできます。
時間給 ≧ 最低賃金額(時間額)
月給の場合は、時間給に割り戻して確認します。
月給÷1カ月平均労働時間 ≧ 最低賃金額(時間額)
ただし、月給で支給するとき最低賃金の計算に入れないものもあります。次の例では、通勤手当と時間外手当は入れずにチェックします。
基本給 120,000円 職務手当30,000円 通勤費9,000円 時間外手当35,000円年間労働日数250日 労働時間1日8時間 〇〇県最低賃金890円の人のケース
(120,000円+30,000円)÷(250日×8時間÷12)=900円
時間に換算した賃金900円 ≧ 〇〇県の最低賃金890円 となって、事例の場合、最低賃金を満たしています。通勤費と時間外手当は含めませんので注意が必要です。
もし、時間外手当を定額時間外手当として定額35,000円を毎月支払っていた場合、時間外手当が定額ですから月給に含めてしまいがちですが、あくまでも時間外手当を定額で支給しているだけですので、35,000円は含めずに確認します。
都道府県ごとに決められた地域別最低賃金は、厚生労働省のページで確認できます。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/chingin/index.html
U.デジタル庁創設にむけた会議
政府は、9月23日、デジタル改革関係閣僚会議を開催し、今後デジタル庁が創設される動きがあるようです。配布されたとされる資料では、デジタル化への課題がまとめられていました。
働き方に関しては、「テレワークの増加、Web会議の増加したことによって、現状ではテレワークが難しい業務が顕在化しており、押印手続きやテレワークを阻害する要因がわかってきた。」とされています。デジタル化の現状・課題は首相官邸のページで資料が見られます。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/digital_kaikaku/dai1/siryou.pdf
緊急事態宣言中においては、社労士が行う定例手続きについては、ほとんどのことが電子申請で手続きできるため、不便なく行えました。支障があったのは、雇用調整助成金の電子受付システムがなかなか動かなかったことや、電子申請で申請した定例手続きについては、処理側の行政の職員が出勤を制限しており、申請到達後の処理が滞ってしまったことです。一部の手続きや助成金給付は、現在も処理が遅れており、お待たせしているものもあります。
電子申請をしても、行政の処理に人の手がかかわっている工程があるようですので、工程が見直しされて、正確に迅速に対応されることを待ちたいと思っています。
V.10月の実務トピックス
(一部、先月と同じお知らせを再掲します)
1. 社会保険の標準報酬が定時(算定)決定で改定になります。
今年は厚生年金標準報酬月額の上限が1等級加えられ、650千円になります。令和2年9月下旬以降に日本年金機構から「標準報酬改定通知書」が届く予定です。
650千円に引き上げられる人と、本年度の算定基礎届訂正届によって標準報酬月額が変わる人も、保険料天引きの変更をお忘れなく。(翌月天引きにしている会社は10月支払い給与から、当月天引きならば9月支払い給与からとなります)
2. 年末調整の申告書配布準備のころです。国税庁のページに新しい申請書が掲載されました。