この号の内容
- 労働保険料の年度更新を7月10日までに
- お問い合わせの多い項目
- 間違いやすい項目
"雇用保険は、事業主と被保険者が負担して、失業の一定期間・育児休業・介護休業をする間の所得補償や、雇用の維持施策を行っています”
労働保険料の年度更新を7月10日までに
雇用保険料と労災保険料とアスベスト一般拠出金を合わせた労働保険料を年間で申告する、いわゆる「年度更新手続き」が例年通り、平成26年6月1日(日)から7月10日(木)までにやってきます。6月までに企業のお手元に申告書類が届きます。ワンズオフィス社労士事務所へ手続き依頼をいただいている企業様は申告書類を電子申請で作成をしますので、申告書類が届きましたらご一報をお願いします。
また、企業様で申告書類を作成されている場合は、申告書類に封入されてくる冊子等でよくご確認の上、申告と納付を期限までにお願いします。この年度更新手続きは1年に1回の計算ですので、去年の手続き手順を忘れてしまっていることもあるようです。
そして前年に概算納付した額と実際の額の精算をすることと、今年度の概算額を前払いすることをあわせて集計するという制度ですから、多少わかりにくい点があるようです。そこで、これまでにご質問をいただいた項目についてまとめてみました。
お問い合わせの多い項目
[Q1]度更新の年度とは何月から始まる1年間のことですか。
→4月から翌年の3月までです。今年であれば、平成25度の保険料確定額は、平成25年4月から1年間に実際に支払った賞与や、各月に支払った給与を合計した賃金に対する保険料を計算します。平成26年度の概算保険料額は、賃金に大きな変動が予定されなければ、平成26年度の保険料の概算額も平成25年4月から平成26年の3月までに支払った賞与や給与の賃金合計額を基に計算します。
[Q2]平成26年には採用が増えて賃金が増額になる予定ですが、たくさん納付しておくのでしょうか?
→まずは、事業所で支払う賃金が、どれくらい増加するのかを見積もってください。平成26年度の賃金が昨年度よりも2倍を超える予定ならば、その支払いを予定の見積もった賃金額に対して保険料を計算して概算納付をしてください。一方で2分の1以下にぐっと減額になる予定ならば、減額になる予定の見積もった賃金額に対して概算保険料を納付します。
[Q3]昨年の年度更新書類を見ると、当社は労災保険料と雇用保険料の計算のもとになる賃金が違うようですが、なぜでしょうか。
→賃金を受ける労働者の全員の賃金に対して労災保険料を納付します。しかし、企業によっては、労働者の中で、雇用保険の被保険者にならない人がいますので、その方々の賃金分だけ雇用保険料の計算のもとになる賃金が安くなっています。例えば、学生アルバイトや1週間の所定労働時間が20時間に満たない人や、30日以下の契約で雇用する労働者などが雇用保険に加入しません。また、4月1日に64歳以上の人は雇用保険料が免除されます。
[Q4]建設業で、一括有期事業として適用事業所になっていますが、下請けもいるので、労災の賃金はどうやって集計しますか?
そうしたことから、保険料の算定基礎となる賃金総額を正確に把握することが困難な事業については、労災保険分に限り賃金総額の特例(請負金額に事業の種類ごとに定められた労務費率を乗じた額を賃金総額とします。)による保険料の算定が認められています。
[Q5]雇用保険を給料から天引きをしていますし、年度更新の時にもきちんと保険料を納付していれば、社員が退職した時になど雇用保険の給付を受けられますか。
→年度更新の納付と、雇用保険の各社員の被保険者資格取得や喪失手続きは、別のものですのでご注意ください。スポットでご相談を受けてよくよく調べてみると、保険料納付をしていても、被保険者資格取得届の提出を忘れている例が見受けられます。その場合は、被保険者に該当する実態があれば2年間さかのぼって加入手続きができます。そして、社員から保険料を天引きしていたなどの要件がそろえば、さらに長期間さかのぼって加入できることがありますので、ご相談ください。
間違いやすい項目
[1]労働者の賃金の一部が賃金の集計から洩れていることがあります。例えば、通勤手当を入れ忘れているケースが多いように思います。賞与、昇給差額なども算入するときに洩れている一例です。
[2]労働保険の対象とならない金額を誤って算入してしまっていることがあります。例えば、役員の報酬を入れているケースが多いです。また、被保険者でない同居家族社員の報酬や出向元で労災保険料を負担している出向者の賃金を入れていることもあります。または、社員の実費弁償であれば入れなくてもよい出張旅費を入れているケースもあります。
[3]労災保険率の適用が誤っていることがあります。年度更新申告書には、届けがしてある事業内容で保険料率があらかじめ印字されています。「事業又は作業の種類」欄 は具体的に記入しますが、保険料率が変わることがないか確認を願います。事業別の保険料率の一覧表は、例年ですと封書の中の厚紙に記載されています。
”労災保険は国が保険者となって、万が一労災が起こった時の労働者の休業補償や療養費ほかの補償をしています。事業主が負担する保険料が財源です”