この号の内容
- 高年齢者雇用安定法が改正
- トヨタ雇用継続の勤務時間半減試み
- 高齢者とは?
"高年齢者は健康とライプランに個人差がある。企業ニーズもあいまって労務管理も多様化へ。 "
高年齢者雇用安定法が改正
4月から始まる改正高年齢者雇用安定法は、年齢の段階的運用期間(*)
があるものの、社員が希望すれば65歳まで働ける何らかの雇用制度を用意しなければなりません。
(*)以下の経過措置が認められています。
平成25年3月31日までに継続雇用制度の対象者の基準を労使協定で設けている場合定年後の雇用についてその労使協定で基準を適用できます。ただし、労使協定で盛り込む対象者基準は、合理的なものでなければなりません。
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・平成28年3月31日までは61歳以上の人に対して
・平成31年3月31日までは62歳以上の人に対して
・平成34年3月31日までは63歳以上の人に対して
・平成37年3月31日までは64歳以上の人に対して
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この期間は労使協定で決めておいた基準に該当する人を60歳以後も雇用するという制度を続けてもかまいません。
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トヨタ雇用継続の勤務時間半減試み
日本経済新聞によると、トヨタ自動車は平成25年7月から60歳定年後に継続雇用する社員を対象に、工場での勤務時間を半分にする「ハーフターム制度」を試行導入することを明らかにしたとのことです。 さて、今回の法改正においても、雇用継続したときの雇用条件をどのように決めるかについては、各企業が選択できるままで改正になっていません。 そうしたことから、働く時間を短くしながら雇用をするトヨタは一つのモデルケースとして注目をしていきたいと思います。
以下、平成25年3月23日日経新聞からの一部引用です。
参考:高年齢者雇用安定法改正の厚生労働省等リーフレット
http://tokyo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/var/rev0/0071/6056/20121226155942.pdf
高齢者とは?
少子高齢化という話で、用いられる数字には、厚生労働省が発表している高齢化率と、出生率があります。
高齢化率:平成22年9月現在23.1% ,合計特殊出生率:平成21年1.37(厚生労働省)。
折れ線グラフで見ると高齢化率のゴールドラインが右上がりで、ブルーラインの合計特殊出生率が右下がりということがよく知られている推計です。このグラフでは、65歳以上が人口に占める割合を高齢化率としています。
今回の新聞記事に関係してトヨタ自動車関係のホームページを読んでいると、労働組合の方が書かれた記事がありました。そこには、少子高齢化が進むという解釈が正しいのだろうかというコラムがあり、20歳で成人としているがもっとゆっくり成人になっているし、65歳を高齢者といっても個人差があって健康で現役で働く人もいることを考えると、子供が減って高齢者が増えているという想定は考え直してみる余地があるようだとありました。
政策や統計では、何事も前提を置かねばなりませんが、それが前提としている高齢者年齢を一律の物差しでとらえることは場面によっては必ずしも的確でないかもしれません。多様化した人事労務管理が必要だと思います。
そもそも65歳までの雇用は、”定年の廃止、定年の引き上げ、雇用継続制度”のどれかを用意する。雇用継続制度はその中のひとつ。