この号の内容
- 受動喫煙の対策
- 改正安全衛生法
- 職場の喫煙対策ガイドラインとは
"強制的な表現になりませんでしたが、対策を始める一歩ととらえて、もう一度職場環境を考える努力が必要”
受動喫煙の対策
はじめに個人的な話で恐縮ですが、オフィスのとなりにカフェ&バーができ、何かと便利です。昼間は軽い打ち合わせに使えますし、夜は遅くまで近所が明るくなって防犯効果もありそうです。実は昨年末は少し離れた初台方面で、オフィスへ夜に空き巣狙いの窃盗団侵入が続いたそうですので、それを思うと人通りがあるほうが安心です。
しかし、当初は若干困ったことがありました。そのお店の外にオープンエリアがありますが、喫煙の灰皿がうちのオフィスに近いところに置いてあって、窓からタバコの匂いが入ってくるようになりました。お酒が入ると喫煙本数も増えるようですし。そこで、お店にお願いして設置場所を少し変えていただけることになり、早々に問題は解決しました。
やはり少し文句を言った印象を与えたと思いますが、もちろんやんわり申しましたしご近所ですし、まずは快く受け入れていただけました。何事も相談してみるものですね。
さて、話は企業の勤務場所での受動喫煙防止です。受動喫煙を防止する対策の努力を盛り込んだ改正労働安全衛生法が6月19日に成立し、1年以内に施行されることになりました。
改正安全衛生法
成立した安全衛生法改正は、職場のストレスチェックを実施義務と受動喫煙の防止がふくまれています。ストレスチェックは前回第214号を参照してください。
今回は受動喫煙の防止の話です。実は法改正が提出されたのは2011年とずいぶん前です。その法案で受動喫煙防止は、企業努力義務ではなく強制力のある義務でしたが。今回は適切な措置を講じるよう努めるものとするという抽象的な表現になりました。
ただし、喫煙しない社員にとっては気になる煙とニオイであることは、おおよそ常識だと思います。不快に感じている社員がいれば、日常の気持ちの持ち方に陰りがさし、職場の雰囲気も良くありませんし、その結果パフォーマンスも下がります。ですから法改正は、何かの対応策を講じる一歩にしたいものです。改正法は次の通りです。
安全衛生法第68条の2 事業者は、労働者の受動喫煙(室内又はこれに準ずる環境において、他人の煙草の煙を吸わされることをいう。第71条第1項において同じ。)を防止するため、当該事情に応じ適切な措置を講ずるよう努めるものとする(アンダーラインは筆者が加筆)。
職場の喫煙対策ガイドラインとは
努力義務ということですから、対応をどのように行うか迷うところと思いますし、すでにどこの職場でも何らかの対応策はとられていると思います。
職場の喫煙についてはすでに出ている平成15年のガイドラインを紹介します。これは健康増進法の制定を受けて、従来からあった「職場における喫煙対策のためのガイドライン」を改正したものです(平成15年5月9日基発059001号)。
これによると施設や設備については次のように書かれています。そのほか詳しくは、文末のURLにて本文をご確認ください。
- 喫煙室の設置、困難な場合は喫煙コーナー設置
- 建物の新設や増改築の場合は、空間分煙を前提とした喫煙室等を計画
- 既存の建物においては、創意工夫によって喫煙室等を設置
- 喫煙室等には、屋外に排出する喫煙機器を設置し適切に稼働
- 4がやむを得ない場合には煙を除去して屋内に戻す空気清浄機を稼働し配慮する
喫煙対策は、事業主の努力義務となるわけですが、吸う人と吸わない人がうまく納得して温和な解決方法を見つけたいものだと思います。
”タバコを吸う人もマナーを持つようになりました。ただし排気を備えた喫煙場所を作るなど、企業には吸わない人の受動喫煙を防止する措置努力が求められます”