「職場のパワーハラスメント」
- 職場のパワーハラスメント問題
- 問題に取り組む意義
- パワハラの類型
- 8月の事務お知らせ
職場のパワーハラスメント問題
今年、3月に厚労省の「職場のいじめ、嫌がらせに関する円卓会議」がパワハラの予防と解決に向けた提言を出したことは記憶に新しいところですが、上司からパワハラを受けたのでどうにかしてほしい。と社員が言っているどうしたらいいか。と経営者から相談をこちらでも受けることがあります。
職場では、悪意があって暴言や問題行為が行われているときと、また悪意がなくても適正な範囲を超えているために時として相手を傷つけてしまうケースがありますし、その中間の場合もあります。
日本では造語の類であるパワーハラスメントと呼ばれているために、職場で力をもつ上位者からのいじめ・嫌がらせととらえられがちです。
しかし、英語ニュースによるとワーク プレイス ハラスメンントと表現しており、そのほうが状況をよく表現していると思います。
具体的には、職場で起こっているいじめや嫌がらせ問題ととらえて、上司から部下だけでなく、部下から上司への行為等も含まれる組織の問題と意識することが求められています。同僚間であれば、問題の言動を1人に対し多数で行っているとすると、これもパワハラの代表的な事例になります。
問題に取り組む意義
"パワハラ放置は、人的資源活用のマイナス"
厚労省円卓会議の提言の中にもあるように、「職場のパワハラは、相手の尊厳や人格を傷つける許されない行為であるとともに、職場環境を悪化させる。また、数多くの人たちが組織で働く現代では、パワハラをなくすことが組織の活力につながるだけでなく、国民の幸せにとっても重要な課題。」と思います。
もちろん、組織が一体となって、事業の目的を達成しているわけです。適正な範囲で活発な言動は必要ですが、ストレスの多い現代において、人は他に先んじるために攻撃的な言動になってしまうことを自覚しておくことも必要と思います。
一方で、上司は結果が出せるように部下を導くことも求められています。適正な指導を行っても行動に改善が見えてこない無気力社員がいるならばなおさらイライラします。この場合、ひとりの上司が指導することに限界があるのならば、企業単位で士気を高めるように教育をおこなうことや、配置転換などの人事対応が必要と思います。
パワハラの類型
"類型がでたことにより、労使で問題になったとき、この類型は判断の「ものさし」として議論に登場する。経営者はこのことをよく認識しておかねばならない。"
パワハラについては、職場の適正な指導の範囲かどうかの判断が難しいわけですが、「職場のいじめ、嫌がらせに関する円卓会議」では典型的な行為類型を示しています。提言ですので法律に書かれているわけではありませんが、例えば、社員が社外に相談をするとすれば以下のような類型に該当するかどうかということが、共通の一定のものさしになると認識しておくことが必要と思います。
- 暴行・障害(身体的な攻撃)
- 脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言(精神的な攻撃)
- 隔離・仲間はずし・無視(人間関係からの切り離し)
- 業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害(過大な要求)
- 業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと(過小な要求)
- 私的なことに過度に立ち入ること(個の侵害)
【予防と対策にむけて】
2については、「ひどい嫌がらせ、いじめ又は暴行を受けた」ことにより社員が精神障害になった場合、発症前6か月間の状況によっては業務に起因すると判断され労災が認められる可能性があります。
4から6までは、業務の適正な指導との線引きが難しいために、企業・職場で認識をそろえて取り組むことが望ましいと思います。
個別に適正な指導をしても育成が難しい社員は、指導しているうちに上司も職場も焦燥ムードが漂います。 企業全体の風土教育方針を整えて、企業全体の底上げとともに指導していくことも考えるべきと思います。