「適性な労働時間管理とメンタル健康」
- メンタル疾患で休む社員をつくらない
- 病気で長期休職はメンタル疾患が多い
- 傷病手当金の26.3%がメンタル疾患
- メンタルの健康と時間外対策
メンタル疾患で休む社員をつくらない
うつ病、適応障害などのメンタル疾患で会社を休む社員が増えています。私が3年前から担当している健保職員の傷病手当金メンタル疾患給付実務セミナーでも、「メンタル疾患の傷病手当金受給が増えているようだ」という声を聞きます。
不調を抱えてしまうまでには、一人ひとりにさまざまな要因があります。
さらに企業組織の一員として働くあらゆる場面で精神活動が動いているのですから、何が原因なのかは一言では語れない人間の心の状態とは、そういった複雑な分野だと思います。
しかし、メンタル疾患で休む社員がいることは、企業内の人材喪失、休職中の社会保険負担、担当職務の一時的な停滞、労災の問題、職場の士気の低下影響、長期化することによる社員の生涯にわたる生活の不安などマイナスになることは多々あります。企業の経済的損失と社員の職業生活を考えると人事管理のテーマの一つになっています。
厚生労働省は、月に100時間または2~6か月で月80時間を超えると、健康に影響が出るリスクが高いとしています。
病気で長期休職はメンタル疾患が多い
団体長期障害所得補償保険を販売する株式会社アドバンテッジマネジメントは、同社が給付したけがや疾病で30日以上の休業したケースのうち、1,200例を無作為で抽出し原因を集計し発表しています。
2011年はうつ病を中心とする「メンタル疾患」の割合が68%で一番多かったとしています。
この私的保険は大企業が多く契約していることが、メンタル疾患の長期休職が多い結果につながっているようです。
それを考慮したとしても、メンタル疾患の休職は長期化するケースが多いことを示しています。
【資料出所】株式会社アドバンテッジマネジメント 2012年9月14日付けニュースリリースより
傷病手当金の26.3%がメンタル疾患
全国健康保険協会が発表した傷病手当金の受給の原因となった傷病別の統計を見ると、件数構成割合では、うつ病などの精神及び行動の障害が26.31%で最も高く、次いでがんなどの新生物(19.82%)、循環器系の疾患(11.80%)ほかとなっています。
また、大規模な企業などで構成する健康保険組合では、メンタル疾患が傷病手当金給付件数の60%程度を占めるところもあります。
メンタルの健康と時間外対策
精神的な健康を保つには、自分自身の自己ケア、コミュニケーションに関する企業のサポート、企業風土の醸成などが考えられます。そして、実際に数値や行動で管理できる労働時間管理を最適にするという施策があります。
平易に言えば、「しっかり働いて、しっかり休む」ということではないでしょうか。人は、単に休むだけでは満足せず、しっかり働く。この両面のバランスが取れることによって仕事の成果も上がってくるように思います。
時間外・休日労働が恒常的にある企業では、施策のひとつとして時間外等を許可制にすることが考えられますが、たとえばこんなルールです。
*注)申請と許可に加えて、予定時刻で仕事が終了しなかった時にはその原因を取り除く一連行動を一枚の申請書で作成します。
一般職社員:平日の時間外は当日の16時までに、
休日出勤は、前日16時までに申請書を出す。
↓
所属長:適正な終了時間を示したうえで許可を出す。
↓
一般職社員:翌日の朝に実際の労働時間を報告し、
予定時間で仕事が終わらなかったならばその理由も報告する。
↓
所属長:問題解決の指示とフォローをする(ここまでを運営するのが大事)。
どの職場でも人員を削減して運営していますから、一般職社員も管理職の上司もそこまでやっていられないと感じるかもしれません。しかし継続をしなければ意味がありません。そのためには、労働時間適性化への強い意義付けが必要ですね。
実際に検討する過程でお手伝いができますのでご相談ください。